DETAILS
我々が普段はいている一般的なジーンズは、シルエットにこそ多少の微差はあるものの、おおよその外形デザインに大きな変化はありません。そこでA.W.Aでは、先に述べた生地や縫製だけでなく、付属パーツにまでこだわり、既に完成されたジーンズの中にアイデンティティを確立し、価値を高めてます。
ジップへのこだわりは、その一つです。ジッパーをジーンズが当たり前のように採用するようになったのは、服飾全体でみると決して早くありません。旧来のデニムは洗うと縮み、シルエットが変わってしまうため、ジップの噛み合わせが悪くなります。多くのヴィンテージジーンズがボタンフライであるのはこのため。やがて技術が進み、サンフォライズド(防縮加工)という、あらかじめ生地を縮ませたデニムが開発されました。極めてプリミティブな発想ですが、縮率を均一させるのは当時だととても難しく、画期的なもの。これによりデニムとジップとの相性が飛躍的によくなりました。ジッパーフライのジーンズが当たり前のように存在し始めたのは、デニムの進化の現れ。ボタンフライよりも当然、脱ぎ穿きがしやすくなったジーンズは、それまでのカウボーイ達のためのものから、広く一般的に普及し、市民権を得るようになりました。